土地購入前の調査

土地購入前の調査

傾斜地に家を建てる前に何を確かめる?役所で聞く三つのこと

傾斜地に並ぶ住宅と擁壁。土地を買う前に区域や条例を確かめる場面のイメージ漫画:区域図で「外」と分かって、ほっとした夜読む ▶

傾斜地に家を建てるなら、土地を買う前に役所の窓口と区域図で確かめたいことが三つあります。区域図で「外」と出ても窓口へ行く理由と、そのまま使える聞き方を一緒に見ていきましょう。

こんな悩み、ありませんか?

  • 眺めのよい傾斜地を見つけたけど、買ってよいのか迷っている
  • 区域図で「外」と出たから、もう安心していいの?
  • 役所の窓口で、何をどんな順番で聞けばいいのか分からない
  • 土を削ったり盛ったりする予定だけど、何か許可が要るの?

傾斜地に家を建てるなら、申し込みの前に次の三つを確かめてください。調べる先は、市役所や町役場の窓口と、県や市町村が公表している区域図です。

  • 土砂災害警戒区域に入っているか: 区域図で場所を開き、窓口で線の位置まで確かめる
  • 擁壁などの措置が要る場面か: 建築基準法第十九条第四項の話として、窓口で聞く
  • 県や市の条例が制限を足していないか: 建築基準法第四十条にもとづく条例があるかを聞く

区域図で「外」と出ても、残りの二つは別に聞きます。三つの答えが契約の前にそろえば、建て方や費用が後から変わる場面を減らせます。

神奈川県には土砂災害警戒区域がいくつあるか

国土交通省のまとめから、2026年6月30日時点の指定数を、全国の合計と神奈川県で並べました。

地域土石流の警戒区域急傾斜地の崩壊の警戒区域地滑りの警戒区域計の警戒区域うち計の特別警戒区域特別警戒区域の割合(%)
全国222,068482,53416,412721,014621,28786.2
神奈川県1,6838,5815510,3198,93386.6

出典: 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/linksinpou.html)(2026年6月30日時点・2026年10月11日取得)を加工して作成

神奈川県の計の警戒区域と、そのうちの特別警戒区域の数は、表の神奈川県の行のとおりです。種類別では、急傾斜地の崩壊の警戒区域が、三つの種類の中でいちばん多くなっています。急傾斜地の崩壊は、急な斜面が崩れる種類の土砂災害です。

この表が数えているのは、指定された区域の数です。区域の広さや、中にある家の数は分かりません。数の多い少ないで、地域の危なさを比べることもできません。

県が公表している市町村別の数の合計とは、集計の時期の違いなどで合わないことがあると、原本に注記があります。

見ている土地が区域の中か外かも、この表からは分かりません。区域図は県や市町村が公表していて、国のハザードマップポータルサイトでも地図に重ねて見られます。神奈川県で傾斜地を探すなら、気になる土地を見つけた日に区域図を開いてください。

場面1: 区域図で「外」と分かって、ほっとした夜

直樹さんの場面を、4コマ漫画で見ていきます。登場する人と場面は、起こりうる流れを分かりやすくするために作った例です。実在の人や会社ではありません。

眺めのよい傾斜地を見つけた直樹さんは、その夜、妻と一緒にスマホで区域図を開きました。

1コマ目。坂の上の空き地で、直樹と妻が眺めに見とれる。

妻「わあ、ここからの眺め、すごくいいね」

直樹「この景色が毎日見られるなら、ここに決めたいな」

2コマ目。夜、直樹がスマホで区域図を開き、妻が心配そうにのぞく。

直樹「土砂災害の警戒区域の地図で、場所を開いてみるよ」

妻「色が付いてたら、どうしよう…」

3コマ目。区域の外と分かり、直樹と妻がほっとして笑う。

直樹「色は付いてない。区域の外だ」

妻「よかった!じゃあ、あとは申し込むだけだね」

4コマ目。夜、直樹が申し込みの書類に笑顔で書き込む。

直樹さんは、役場には寄らずに申し込むつもりでした。区域の指定とは別の決まりがあることを、まだ知りませんでした。

この場面で役に立つのは: すぐ下の、区域図で外と出ても窓口へ行く理由の節です。擁壁などの措置と条例の制限は区域の指定とは別だと知っていれば、外と出ただけで申し込みへ進まずに済みました。

区域図で「外」でも窓口へ行くのはなぜか

区域図で「外」と分かると、ほっとして調べるのをやめてしまいがちです。けれども、擁壁などの措置の定めと条例の制限は、区域の指定とは別の決まりです。

建築基準法第十九条第四項の文は、次のとおりです。

「建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。」

この文には、警戒区域の中かどうかという条件は書かれていません。書かれているのは「おそれのある場合」です。

区域図で外と出た土地でも、この場合に当たるかは窓口で聞いてください。当たるかどうかは、土地ごとに役所や専門家が判断します。

もう一つは、国の法律の上に、県や市が条例で制限を足せることです。建築基準法第四十条は、次のように定めています。

法令条見出し条文の文
建築基準法第四十条(地方公共団体の条例による制限の附加)地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しくは規模に因り、この章の規定又はこれに基く命令の規定のみによつては建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。

出典: 「e-Gov法令検索」(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/)(2026年10月11日時点の現行の条文・2026年10月11日取得)を加工して作成

条例の中身は、県や市町村ごとに違います。同じような斜面でも、どこの県や市にあるかで、求められることが変わります。窓口では、この土地にかかる条例の名前まで聞いてください。

措置が要ると分かるのが契約の後だと、擁壁の工事や設計の見直しの費用を抱えることがあります。だから三つとも、申し込みの前に聞いておきます。

場面2: 電話では答えが出なかった、役場への問い合わせ

区域図だけでは分からないことがあると知った直樹さんは、昼休みに役場へ電話をかけました。

1コマ目。昼休み、直樹が販売図面を前に役場へ電話する。

直樹「あの土地に家を建てて大丈夫か、電話で聞けますか?」

2コマ目。役場の担当者が電話口で、すまなそうに話す。

役場の担当者「地図を一緒に見ないと、お答えしにくいんです」

役場の担当者「販売図面と地番の分かるものを持って、窓口へお越しください」

3コマ目。窓口で、担当者が地図を指し、直樹が身を乗り出す。

直樹「この地番です。区域の線は、土地のどこを通っていますか?」

役場の担当者「では、地図で一緒に見ていきましょう」

4コマ目。直樹が担当者に頭を下げ、ほっとした顔で窓口を離れる。

直樹さんは、擁壁などの措置と条例のことも順に聞きました。答えにうなずいて、ほっとして役場を出ました。

この場面で役に立つのは: すぐ下の、窓口で聞く順番と聞き方の節です。販売図面から地番を書き写し、区域図を印刷して持って行けば、電話で足止めされずに済みました。

窓口ではどの順番で何を聞くか

おすすめは、販売図面を持って、建築の相談を受ける窓口へ直接聞きに行く方法です。電話より手間はかかりますが、地図を一緒に見ないと答えが出ない質問だからです。

区域の線は、土地の境目ではなく、斜面の形をもとに引かれています。そのため、一つの土地の一部だけが区域に入ることがあります。建てたい場所に線がかかるかは、地図を指さしながらでないと確かめられません。

順番は次のとおりです。

  1. 販売図面から、土地の所在と地番を書き写す
  2. 区域図でその場所を開き、色が付いているかを見て、画面を印刷するか写真に撮る
  3. 役場に、建築の相談はどの窓口かを聞く(町によっては県の出先が受け持つことがあります)
  4. 窓口で下の質問を順に聞き、答えた窓口の名前と日付を控える

聞き方は、このまま使えます。

  • 「この地番は、土砂災害警戒区域か特別警戒区域に入っていますか。線は土地のどこを通っていますか」
  • 「この土地に家を建てる時、がけ崩れなどへの措置として擁壁などを求められる場面に当たりますか」
  • 「建築基準法第四十条にもとづく条例で、この土地にかかるものはありますか。県と市町村の両方を教えてください」

区域に入っていると言われたら、家を建てる時に何が求められるかを、その場で続けて聞きます。その答えは、設計を頼む会社にそのまま伝えます。

土を削ったり盛ったりする予定があるなら何を聞くか

傾斜地では、家や駐車場を造るために、土を削ったり盛ったりすることがあります。その計画があるなら、宅地造成及び特定盛土等規制法の第十二条も確かめます。

第十二条は、宅地造成等工事規制区域の中で行う工事について、工事主が着手の前に「都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。同じ条には、「宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない」というただし書もあります。

この許可は、規制区域の中で行う工事の話です。区域の外の土地には、この条の許可は当てはまりません。

窓口では、まず「この土地は宅地造成等工事規制区域の中ですか」と聞きます。中だと言われたら、予定している工事が許可の要る工事かを続けて聞いてください。担当は県のことも市のこともあるので、役場で行き先を教えてもらうのが早道です。

確かめたつもりで抜けやすいのはどこか

  • 重要事項説明で初めて聞く: 重要事項説明は契約の前に受ける説明ですが、契約の当日に受けることも少なくありません。その場で区域や条例の話を初めて聞いても、引き返すのは難しくなります
  • 答えを口頭で聞いて終わる: 聞いた日と窓口の名前を控えないと、設計を頼む会社が同じことを調べ直すことになります。答えは紙に書いて残します

確かめ終えたかの見分け方

次の三つに、窓口で聞いた答えを一行ずつ書ければ、確かめは終わりです。

  • 区域図で見た結果(中か外か、一部だけ中か)と、窓口で確かめた線の位置
  • 擁壁などの措置を求められる場面に当たるかの答え
  • この土地にかかる条例の名前と、その条例で求められること

一つでも空いていたら、申し込みの前にもう一度窓口へ行ってください。

参考・出典

この記事は一般的な情報です。個別の事情や判断については、専門家や関係する窓口へご確認ください。

この記事について

書いた人
ラスタライズ株式会社(代表 石黒文康)。AIが下書きし、公開前に機械の検査と別のAIによる事実・法的リスクの検査を通しています。
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出典の扱い
本文の数字や制度は、上の「参考・出典」のページを実際に開いて確かめたものだけを載せています。

買い手の側に立って、契約前に確かめるべき点を資料と一緒に整理します。

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